¥老後貯金ナビ

退職金にかかる税金はいくら?退職所得控除の計算をやさしく解説

退職金は税金がとても優遇されています。退職所得控除・1/2課税・分離課税という3つの仕組みで、多くの会社員は税金がかからないか、かかってもわずかで済みます。計算方法を確認しましょう。

最終更新:2026-07-17

¥
退職金は、給料やボーナスにくらべて税金がとても優遇されているよ。 「退職所得控除」と「1/2課税」のおかげで、多くの会社員は税金がかからないか、かかってもごくわずかで済むんだ🐷

退職金は3つの仕組みで税金が優遇される

退職金にも所得税・住民税はかかりますが、長年の勤労に報いる性質から、給与などとは別の手厚い優遇が用意されています。ポイントは次の3つです。

  • 退職所得控除…勤続年数に応じて、退職金から大きな金額を差し引ける
  • 1/2課税…控除しきれなかった分も、さらに半分にしてから課税される
  • 分離課税…他の所得と合算されず、退職金だけで税額を計算する

この3つが重なるため、実際に税金がかかるのは退職金がかなり多いケースに限られます。 まずは中心となる退職所得控除から見ていきましょう。

① 退職所得控除は勤続年数で決まる

退職所得控除額は、勤めた年数(勤続年数)が長いほど大きくなります。計算式は20年を境に変わります。

勤続20年以下40万円 × 年数
(最低80万円)
勤続20年超800万円 + 70万円 ×(年数−20)
退職所得控除額の計算式。勤続20年を超えると、1年あたりの控除額が40万円から70万円に増える。

たとえば勤続年数別の控除額は、次のような目安になります(1年未満の端数は切り上げて計算します)。

勤続10年

400万円

勤続20年

800万円

勤続30年

1,500万円

勤続40年

2,200万円

勤続年数は端数を1年に切り上げて計算します(例:30年1か月なら31年)。障害が原因で退職した場合は控除額が100万円加算されるなどの特例があります。

② 控除しきれない分は「1/2」にして課税

退職金が退職所得控除を超えた場合でも、超えた金額をそのまま課税するのではなく半分にしてから税率をかけます。 これを1/2課税といい、税額計算のもとになる「退職所得」は次の式で求めます。

退職金受取額
退職所得控除勤続年数で決まる
)×½=
退職所得課税のもと
課税のもとになる退職所得の計算式。控除を引いたうえで、さらに半分にする。

勤続5年以下の役員等が受け取る「特定役員退職手当等」や、勤続5年以下で控除後300万円を超える部分などは、1/2課税の対象外になる場合があります。

③ 他の所得と合算しない(分離課税)

退職所得は、給与や年金など他の所得と合算せず、退職金だけを取り出して税額を計算します(分離課税)。 累進課税で税率が跳ね上がるのを防ぐ仕組みで、これも大きな優遇のひとつです。

モデルケースで税額を見てみよう

勤続35年(退職所得控除=800万+70万×15=1,850万円)の会社員を例に、退職金の額ごとに税額を計算してみます。

モデル① 勤続35年・退職金1,800万円

退職金1,800万円 < 控除1,850万円 → 退職所得は0円

退職所得控除

1,850万円

退職所得

0円

税金

0円

所得税+住民税

手取り

1,800万円

満額

退職金が控除額の範囲内なら、税金はまったくかかりません。多くの会社員がこのゾーンに収まります。

モデル② 勤続35年・退職金2,500万円

(2,500万−1,850万)×1/2=325万円が退職所得

退職所得

325万円

所得税

約23万円

住民税

約33万円

手取り

約2,444万円

控除を超えた分があっても、1/2課税と分離課税のおかげで、2,500万円の退職金にかかる税金は合計約56万円(実効2.2%ほど)に収まります。

所得税は復興特別所得税(2.1%)を含めた概算、住民税は退職所得の10%で計算した目安です。実際の税額は控除・端数処理により多少変わります。

「退職所得の受給に関する申告書」を必ず出す

この申告書を勤務先に提出しておくと、上記の優遇(退職所得控除・1/2課税)を反映した正しい金額で源泉徴収され、 原則確定申告は不要です。提出を忘れると退職金の20.42%が一律で源泉徴収され、 払いすぎた分は自分で確定申告して取り戻すことになります。

2026年からの改正に注意(iDeCo・企業型DCとの受け取り時期)

iDeCoや企業型DC(確定拠出年金)を一時金で受け取ると、こちらにも退職所得控除が使えます。 ただし、DCの一時金を先に受け取ってから会社の退職金を受け取る場合、これまでは前後5年以内だと控除が調整(減額)されていました。 2026年以降はこの期間が10年に延長されるため、退職金とiDeCo・DCの受け取り時期をずらすときは、控除が重複して減らないか事前の確認が大切です。

受け取り方や年金の税金もあわせて確認を

退職金は一時金・年金・併用のどれで受け取るかによって税金や社会保険料が変わります。また、老後に受け取る公的年金にも税金がかかるため、年金にかかる税金とあわせて、老後の手取りを見通しておきましょう。 受け取った退職金を運用に回すなら、非課税の制度を使うと効率的です。

iDeCoシミュレーターで受け取りまでの積立を試算する節税しながら老後資金づくり。掛金で税金がいくら戻るか試算します。使ってみる →

よくある質問

Q.退職金にはどのくらい税金がかかりますか?

A.退職所得控除(勤続年数で決まる)を引き、さらに残りを半分にした「退職所得」にだけ課税されます。多くの会社員は退職金が控除額の範囲内に収まり、税金がかかりません。控除を超えても1/2課税と分離課税のおかげで税負担は軽く抑えられます。

Q.退職所得控除はいくらですか?

A.勤続20年以下は「40万円×勤続年数」(最低80万円)、20年超は「800万円+70万円×(勤続年数−20)」です。たとえば勤続30年で1,500万円、勤続40年で2,200万円が控除されます。

Q.退職金を受け取るのに手続きは必要ですか?

A.「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出しておけば、優遇を反映した正しい金額で源泉徴収され、原則確定申告は不要です。提出を忘れると退職金の20.42%が一律で源泉徴収され、払いすぎた分は自分で確定申告して取り戻すことになります。

¥

あなたの場合は、いくら?

ここまで読んだら、次は自分の数字を。スライダーを動かすだけ、3分で老後に必要な額がわかります。

さっそく診断してみる